DeepSeekとは? 中国製AIの特徴・危険性と使い方を解説

近年、AI技術は飛躍的に進化し、さまざまな分野で活用が進んでいます。特に、大規模言語モデル(LLM)の進化は目覚ましく、新たな選択肢が次々と登場しています。その中で、低コストながらも高性能を誇る「DeepSeek」が注目を集めています。
AIを活用したいが、どのモデルを選べばよいのか迷っている方へ、本記事では、DeepSeekの特徴や使い方、料金、そしてセキュリティリスクについて詳しく解説します。
DeepSeekとは?概要を知ろう

DeepSeekは、AI企業である杭州深度求索人工知能基礎技術研究有限公司(DeepSeek社)が開発した大規模言語モデル(LLM)および生成AIプラットフォームです。この企業は名前のとおり中国・杭州を拠点としています。
DeepSeek社は2023年に設立され、2024年末にDeepSeekシリーズの最新フラグシップ「DeepSeek-V3」、2025年1月には「DeepSeek-R1」といったAIモデルを公開し、AI業界で急速に注目を集めています。
生成AIで先陣を切っているOpenAI社のChatGPTやGoogleのGeminiとの実力差はどうなのか、また開発元の所在は中国であり、サーバーも中国国内に設置されています。セキュリティはどうなのか大変気になるところです。
セキュリティ上の配慮
※本記事ではDeepSeekの利用に関してはセキュリティ上どのような不都合が有るか不明のため仮想PCを作成してそのPC上でWEBアクセスをしています。情報収集後は念のため仮想PCを削除しています。またスマートフォンのアプリにおいては予備の端末にインストールして確認しました。
DeepSeekの使い方
DeepSeekのロゴ [] は親しみやすさを込めた丸っこいクジラです。アプリケーションやシステムのロゴに動物を使っているものはX(Twitter)等多々ありますが、AI系で動物を使っているところはなく幾何学的な図形が一般的です。
ロゴの親しみやすさとそのサービスに潜んでいるかもしれない悪意あるセキュリティは別物ですのでそこはお忘れなく。
尚、筆者は中国系関連のアプリ、WEBシステムにアクセスするときは、仮想PCからアクセスしています。なんらかのセキュリティで変になったときはまるごと削除ということにしています。
では、さっそくhttps://www.deepseek.com/ にアクセスしてアカウントを作成してみます。
[Start Now]をクリックして進めます。現時点でDeepSeek-V3が利用可能となっています。
ログイン画面で[Sign up]をクリックします。
サインアップ画面でメールアドレス、パスワードを入力し、[send code]で認証コードを入力したメールアドレスに送信します。DeepSeekからのメールを受信するとメール本文中にコードが記載されていますので、そのコードを入力して[Sign up]をクリックすれば使用可能となります。
ログイン後の入力トップ画面。言語は英語、中文の2つですが日本語での問いは問題なく使用できます。画像生成は今のところ無いようです。
ではさっそく質問してみます。1つ目は、私(著者)について知っているかどうか。
DeepSeekは保有するトークン数はChatGPT、Geminiよりもはるかに凌いでいます。
しかしながらChatGPT、GeminiはウィキペディアやSNSなどの公開情報をもとにいろいろ出力されましたが、DeepSeekはまだまだ他国のマイナーな私の情報は知識データベースには存在しないようです。
あくまで私の感覚的な評価順位ですが、Gemini > ChatGPT >> DeepSeek となります。
2つ目の質問です。だいぶコアな質問になりますが、以前ChatGPTでプログラムコードの生成例としてとりあげた『タッパーの自己言及式』についてのプログラムコード生成についての質問です。ここで『タッパーの自己言及式』についておさらいをしておきます。
タッパーの自己言及式は、ジェフ・タッパー (Jeff Tupper) によって考案された不等式であり、特定の条件の下で式を満たす二つの数の組を二次元のグラフに描くと不等式そのものの形となる。 2001年にコンピュータグラフィックスを扱う国際会議SIGGRAPHで発表された。不等式は次のように定義される。
タッパーの自己言及式 wiki
これをプログミングするときの肝としてy値は543桁の大きな値を扱うというもので、言語によって向き不向きがあります。
DeepSeek、Gemini、ChatGPTそれぞれの回答を比較しました。
モデル | 「『タッパーの自己言及式』の理解度 | コーディングスタイル | Perlの標準的な数値計算機能の精度についての理解 | 1、0の表示方法への重点 |
---|---|---|---|---|
Gemini | 式を与えても容易ではないとの回答 | 自己実装スタイル(空関数) | 理解している | あり |
ChatGPT | 式を与えても正しい解答を得られず | 自己実装スタイル(空関数) | 理解している | あり |
DeepSeek | 式を与えても正しい解答を得られず | 定数を用いて実装(正解ではない) | 不明 | 不明 |
Geminiは『タッパーの自己言及式』の式の部分は自分でコーディングするスタイルで出力されました。『タッパーの自己言及式』の式を与えても容易ではないとの回答でした。Perlの標準的な数値計算機能では精度が不足する可能性があることは理解しているようです。
ChatGPTもGeminiと同様で『タッパーの自己言及式』の式を与えても正しい解答は得られませんでした。
DeepSeekは『タッパーの自己言及式』とは何かを理解しており、定数を使ってコーディングしてきました。正しい解ではありませんが、ChatGPT、Geminiよりも命題を理解しユーザが欲する回答をしてきました。(ただし正解ではありません)
Gemini、ChatGPTは1、0の表示方法を出すところに重点がおかれ肝心の式部分は空関数になっており自分で実装しなさいというコーディングスタイルでした。
評価順位は DeepSeek > Gemini = ChatGPT となります。
perl言語の場合はMath::BigIntを使い且つ結果がオーバーフローしないように計算式を分解してコーディングする必要があります。
そこまで考慮して正しくコーディングしてくれる生成AIは今のところありませんが、DeepSeekはこのなかで一番いいようです
もちろん追加の情報を何回か与えることでどの生成AIもコーディングの精度はあがります。私は新しいAIが出てきたときはいつもこの2点をいれて挙動を確認しています。
[出力正解例] perl言語での正しいコードと出力結果は「話題騒然のChatGPTとは?面白い事例を聞いてみた『ChatGPTでプログラムコードの生成』」を参考にしてください。

尚、python言語の場合は標準で多倍長整数をサポートしているため何も考えずにプログラミングできます。perlは出力に1秒かかりますが、pythonは0.1秒で出力されます。さすがAI科学者愛用の計算ツールですね。
話が少しそれましたが、DeepSeek-V3、DeepSeek-R1について話に戻しましょう。今回のDeepSeek-V3はいろんな方面からChatGPTよりも格段に優れているという話が聞こえてきます。
さらに注目点としては少ないGPUリソースでChatGPTと同等以上の性能を発揮しているというところです。そのためGPUを製造しているNIVIDAのGPUに多くを頼らなくても今後いいのではという憶測で一時的に株価が大幅なダウンがしました。(2025年2月時点で株価は復帰傾向です)
その結果、「高性能なAIの開発には膨大なリソースが必要」ということが絶対ではない可能性が指摘され、AI関連銘柄の株価が下落したことで「DeepSeekショック」という言葉が生まれました。
低コストでの開発が可能であるということはユーザ利用側にとっても提供されるAPI課金費用も抑えられるということにもつながります。
DeepSeek-R1は2025年1月に発表されました。DeepSeek-R1は、DeepSeek-Vシリーズを元に推論に特化した大規模言語モデル(LLM)です。OpenAIの「o1」に匹敵する性能を持つとされています。
DeepSeek-R1の特徴として、以下が上げられます。その中でも他のAI性能と同等以上の性能を有しながらもAPI価格が非常に低コストであるというところが魅力的です。
- 高い推論能力
数学、プログラミングに有用 - 論理的思考
問題解決と意思決定の支援など複雑な問題の分析に有用 - オープンソース
MITライセンスで公開されており、誰でも自由に利用できます。 - 低コスト
API価格がOpenAI o1の25分の1以下と、非常に安価に利用できます。
DeepSeek-V3はGPUリソースにおいて技術面でのブレークスルーがなされたわけですが、このAIモデルはオープンソースをうたいながらも中国産であるということです。
中国製アプリは利便性や機能性において大変魅力的なものも多いですが、データ収集、検閲によるセキュリティ上のリスクがかならず存在します。
実際にパケットダンプ、リバースエンジして特定してはいないのでこれは憶測となりますが、杭州深度求索人工知能基礎技術研究有限公司(DeepSeek社)が検閲等を否定してもサーバー本体が中国に設置されているため、通信データの監視や収集の可能性が指摘されています。ブラウザーアクセスはまだしも、アプリの利用はなおさら差し控えた方がよさそうです。
DeepSeekモデルの概要と料金
DeepSeekモデルの概要
- DeepSeek-R1
DeepSeek-V3をベースに、2025年1月20日にR1がリリースされました。
大規模強化学習(RL)を取り入れて推論性能を飛躍的に向上させています。推論、数学、コーディングといったタスクにおいて、OpenAI-o1と同等の性能を有しています。 - DeepSeek-V3
DeepSeekの初期モデルはV1から始まり2023年10月30日にV3がリリースされています。
多機能AIチャットボットで、テキスト対話、情報検索、質問応答などのWeb、アプリサービスが無料で利用できます。APIの各プラットフォームも無料で利用できますが、トークン数によっては料金が発生します。 - DeepSeek-Pro
高度なビジネスニーズに対応するためのモデル。より複雑なデータ処理と分析機能を提供されています。 - DeepSeek-Lite
リソースが限られた環境での使用に適した軽量モデル。
DeepSeekの料金
DeepSeekのAPI料金は、入力トークン数と出力トークン数に基づいて課金されます。
トークンとは、AIが処理する文字や単語の単位であり、利用量に応じて課金される仕組みです。料金は1Mトークン(100万トークン)ごとに設定されており、以下の価格構成となっています。
DeepSeek モデルと料金
モデル 入力価格
(※キャッシュヒット)入力価格
(キャッシュミス)出力価格 deepseek-chat (V3) $0.07 $0.27 $1.10 deepseek-reasoner (R1) $0.14 $0.55 $2.19
※キャッシュヒットの方が安いのは再利用が予想されるコンテンツを分散ディスクアレイにキャッシュされ、重複入力が検出されると、再計算の必要性を回避して、繰り返される部分をキャッシュから取得されるためです。
料金比較
料金比較
縦軸がMMLU REDUX ZeroEval scoreで横軸(対数目盛)が入力価格/1Mトークンです。
MMLU REDUXはAIモデルの言語理解能力を評価するためのベンチマークデータセットで、ZeroEval scoreはゼロショット学習能力を数値化したスコアです。またゼロショット学習というのは初見のタスクに対応できる能力です。
他AIのAPI利用のスコア比較表でDeepSeek-V3が1Mトークン当たりのコストが非常に安いというのがこのグラフから分かります。(DeepSeek-V3が性能/価格比最適化エリアにあります。水色領域)
このグラフだけではその安さを実感できないと思います。そこで、以前の記事でOpenAIのAPIを実際に利用し、1つの問い合わせ文とその結果を含めた際のコストを比較してみます。
入出力合わせたトークン数が366トークン(その内、出力は64トークン)でした。この場合のコストは(366/1000)*0.02ドル=$0.00732で約1.1円です。(1ドル=155円換算)
DeepSeek-V3で入力(キャッシュミス)、出力合わせた価格を同様に机上計算すると$0.014で1.4銭です。
DeepSeek-V3は、OpenAIのおよそ1/100の驚愕の安さとなっています。DeepSeek-R1で計算すると1/33となります。
DeepSeekの危険性

DeepSeekは中国企業が提供するサービスであるため、そのデータの取り扱いや運営方針に関して透明性が十分であるか、不安を抱く声もあります。特に、中国の法律や規制の影響を受ける可能性があることから、データの保存場所や第三者への提供の有無について慎重に考える必要があります。
そのため、WebサービスやAPIを利用する際のデータセキュリティやプライバシーについては、他のサービス以上に慎重な対応が求められます。利用者自身が適切な対策を講じ、情報の取り扱いに十分注意する必要があります。
DeepSeekの注意点
以下にDeepSeekの注意点をまとめました。
- 安価に利用可能 だが、API提供元は中国企業 のため、データ管理に注意が必要
- 商用・機密情報の利用は慎重に検討すべき
- オープンソース版でも悪意あるコードのリスクに注意する
- 中国の国家情報法により情報提供義務の可能性がある
- 機密情報が漏えいするリスク があるため、入力データに注意する
- 研究・検証ならローカル環境の利用推奨、セキュリティ対策が必要
安価に利用可能なモデルでありますが、APIの提供元は中国の企業ですので、データの取り扱いなどは十分注意してください。特に、商用環境での利用や機密情報の取り扱いに際しては、十分な検討が求められます。
DeepSeekはオープンソースとしても公開されております。オープンソースモデルをローカルで動かす場合は大丈夫なのではと思われますが、悪意あるコードがひそかに挿入される懸念もありますので利用はやはり注意してください。
中国企業は、中国の国家情報法にもとづき、政府への情報提供義務があります。中国政府からの要請があれば、
情報提供や技術協力を行わなければならない可能性がある。海外に進出している中国企業(TikTokなど)もこの法律の適用を受ける可能性もあると指摘されています。DeepSeekの開発元の本拠地は中国にありなおさらです。
ビジネス上の機密情報や個人情報をDeepSeekに入力してしまうと中国政府に漏えいする可能性があるため、注意が必要です。
研究や検証ではオープンソースを利用した閉じられたローカル環境での利用がおすすめですが、入力データや生成された出力の内容に関して、プライバシーやセキュリティの観点から適切な管理が求められます。
DeepSeekに関するよくある質問
以下は、DeepSeekに関するよくある質問です。
DeepSeekで日本語は利用できる?
DeepSeekは日本語で利用が可能です。問い合わせを何度となく繰り返していると突然”中文”で返送される場合がありますが、”日本語で”と催促すれば問題ありません。
DeepSeekとChatGPTの違いは?
一番の差の画像生成がDeepSeekにはないところです。DeepSeekの良い点として「DeepThink(R1)」熟考できるところです。
APIのコストに関してはDeepSeekがChatGPTの1/25~1/100の格段の安さとなっています。
まとめ
DeepSeekは、大規模なパラメータ数と高い性能を持つ大規模言語モデルであり、他AIモデルに全く引けを取らないばかりかそれ以上の性能を有しており、なおかつAPI利用価格は非常に低価格です。
またオープンソースで公開もされているので、自身でカスタマイズも可能で魅力的です。様々な分野での活用が期待されています。技術者であれば是非使ってみたいAIモデルでもあります。
しかし、中国系企業を非難するつもりは全くありませんが、中国政府の監視下にあるのは間違いないと思われます。倫理的な問題や情報源の信頼性など、注意すべき点もあります。DeepSeekを利用する際は、これらの点に留意する必要があります。
DeepSeekはオープンソースで公開されているので、その良い部分は他のAIモデルであるChatGPTやGeminiにもきっと取り込まれて相互に発展していくだろうと思われます。今後のいろいろなAIモデルの発展に期待します。
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医療メーカーで新素材研究開発後、電機メーカーで制御器系システム開発を経てIT系マルチエンジニアをしています。またデザイン思考を実践し、アート思考などのいろんな思考方法に興味があります。