2文字.2文字ドメインを巡って
企業はもちろんのこと、ブロガーからITエンジニアに至るまで独自ドメインを保有している方も多いのでないでしょうか。
株式会社日本レジストリサービス(JPRS)「JPドメイン名の登録数の推移」によるとJPドメイン名全体の累計登録数は2021/11/1で160万件を超えます。その内汎用JPドメインは110万件に達しています。
筆者が2003/1/1に汎用JPドメインをValue Domain(バリュードメイン)で取得した当時では20万件ですから18年で約5倍になっています。
汎用JPドメインについて
汎用JPドメインにはASCIIタイプと日本語タイプがあります。ASCIIタイプは3文字から64文字までの半角英数字と-(ハイフン)が使用でき、日本語タイプは1文字から15文字程度で文字通り全角の漢字・かな・カナと"・"(中黒)などが使用できます。日本語JPドメインを収集されているサイトで日本語.jpがあります。
ASCIIタイプは毎年数千単位で増加していますが、日本語タイプは2008年から減少傾向にあります。
日本語ドメインは覚えやすく、SEOで有利というメリットはありますが、ドメイン名は日本語ですが、結局Punycode変換により日本語部分はxn--から始まる英数の文字列に変換されブラウザー以外での使用はできません。
筆者は2005年に2文字の日本語ドメインで"メモ"という文字で取得してウィキペディアの簡易事典ミラーサイトを構築しましたが、2008年に手放しました。その事典ミラーサイトには.comの英文字でドメイン名"memomsg"も割り当てていましたがそちらの方でのアクセスが多く、日本語ドメインの方は定着しませんでした。このようなデメリットもあり、日本語ドメインは減少傾向にあります。
汎用JPドメインにおいて2文字は取得できず、3文字以上となります。ドメイン好きな筆者は3文字の汎用JPドメインを取得しております。3文字の汎用JPドメインはまだまだ空きがあります。
2文字.2文字ドメインのメリット
さて、本題での2文字.2文字ドメインですがどこのドメインレジストラでどのドメインを取得するのか。そもそもなぜ2文字.2文字ドメインを取得するのかですが、短い名前のドメインには次のようなメリットがあります。
・覚えやすく、文字入力数が少ない。
一般ユーザーが覚えやすく、URLを直接入力しても文字数が少なくて済みます。
自社サービス用でテスト時のスマートフォンでURL入力するのに楽で覚えやすい。
・入力文字数が限られている情報欄においてURL部の文字数を最小限にできる。
短縮URLサービスをリリースしているところがありますが、これを独自で構築することで、好きな文字で短縮できます。
ただし、独自ですのでドメインを手放したときに、サービスを終了させた場合はリンク切れになります。また再利用される可能性もありますので注意してください。
・スタイリッシュでアピールできる。
個人の主観によりますが、エンジニア、フリーランスとしてシグネチャーやプロフィールに記載してアピールできる。
・将来プレミアムドメインになり、高額で売れるかもしれない。
取得したい2文字2文字のトップドメイン
まず、2文字2文字を取得可能なトップレベルドメインを以下のサイトで参考にして探してみます。
https://catechgory.com/
.ag .cx .gg .gl .gs .gy .ht .is .je .lc .me .pe などがあるようです。
取得先のドメインレジストラ
日本のドメインレジストラもありますが、多種の2文字2文字ドメインを扱っているGandiでドメインの取得をおすすめします。著者は2文字2文字ドメインに関してGandiでドメインを取得しています。日本のドメインレジストラと比べて比較的安価で、PayPal決済もできるのでお薦めです。日本語ページも充実していますので安心できます。
ほとんどのドメインレジストラのトップページは取得したいドメイン名の検索欄が上段に設置されています。
ここも同じようなページレイアウトですが、キャッチフレーズは「全てはドメインから始まります」とうたっています。そうです、ドメインはインターネット上に存在するコンピューターやネットワークを識別するための名前でインターネット上で目に見える住所の基本となっています。
筆者はop.gyを所有していますが、Gandiでドメイン名検索をすると、2文字ドメインを含んだ候補が価格付きで一覧表示されます。
.me(モンテネグロ)は ”私”を意味することから企業や個人の自己表現やブランディングに利用されることを意識して初期購入費用が100万円前後になっています。全て初年度取得はプレミア付の値段で手が出ません。.ki(キリバス)は年間費が10万を超えます。1万円以下のドメインで個人で手に入れることができるのは次のドメインがあります。
.gy(ガイアナ)、.sg (シンガポール) 、.hn (ホンジュラス) で他にもありますが、今回は最安の3千円台の.gy(ガイアナ)に注目してセカンドレベルドメイン名の空き情報を調査します。その中で気に入った2文字があれば先ほどのドメインレジストラで取得できます。Value Domainでも扱っていればここから購入検討できますが、今のところできません。これらのドメインを移管できるかはValue Domain次第です。
GYドメインについて
.gyドメインを取得するに当たりガイアナはどういう特徴の国かを知っておきます。中南米のイギリス連邦加盟国で人口は100万人にも達しておらず、南米では最貧国ではありましたが、2019年12月に原油生産を開始しており、GDPも上昇してきています。
.gyドメインの管理、運営はガイアナ大学が行っています。
実際に空き情報を取得するには、Linuxのwhoisコマンドで判定できます。
#whois op.gy | grep -e "Domain Status"
Creation Date: 2021-02-28T11:05:02.811Z
この場合は取得済みです。
#whois zw.gy | grep -e "Domain Status"
Domain Status: No Object Found
この場合は空いています。
セカンドレベルドメインのアルファベット2文字の組み合わせ676ドメインを手で打っていては面倒です。これではホームページの入力欄で検索しているのと同じですので、今回はスクリプトを組んで総当たりして調べます。
.gyの空き情報の取得スクリプト 2to2dm.pl
#!/bin/perl
use strict;
use Time::Local;
my $top_domain = "gy";
my $listfile = "dlist.txt";
open(FP,"+>" . $listfile) or die("Error");
## whois from aa to zz##
my @str = ("aa".."zz");
foreach my $s1 (@str){
my $domain = "$s1.$top_domain";
my $cmd = "echo $domain ; whois $domain";
print STDERR $domain . "...\n";
my $rst = `$cmd`;
print FP $rst;
sleep 3;
}
## list create ##
seek(FP, 0, 0);
while(<FP>){
chop($_); #LF
if(/^..\.gy/){
print "\n" . $_ . ",";
next;
}
if(/Domain Status: No Object Found/){
print ",";
next;
}
if(/Creation Date/){
my @data = split(/Creation Date: /,$_);
#GMT to JST
my $tm = $data[1];
$tm =~ /^(\d+)-(\d+)-(\d+)T(\d+):(\d+):(\d+)/;
my $utm = timegm($6, $5, $4, $3, $2-1, $1);
my ($sec,$min,$hour,$mday,$mon,$year,$wday,$yday,$isdst) = localtime($utm);
my $timemsg = sprintf("%04d/%02d/%02d %02d:%02d:%02d",$year+1900,++$mon,$mday,$hour,$min,$sec);
print $timemsg;
next;
}
if(/Registrant Country/){
my @data = split(/Registrant Country: /,$_);
print "," .$data[1];
}
}
print "\n";
close(FP);
2021/11/23現在の結果がこちらです。まだまだ空きドメインがあり、173個が空いています。(ただし予約されている場合もあります) 取得スクリプトでは国記号も取得できますので、503個の国別の取得数も集計しました。国別の.gyの取得状況は下図のとおりです。
何かと各種統計に出現する国であるG7+プラス2に加えて興味深い国がTOP 10に入っています。それはBGでブルガリアのことです。
ブルガリアと聞いてヨーグルトのキーワードしか思いつかないとIT業界において取り残されます。
また、ドラキュラを思いついた方は小説、歴史好き、バラを思い浮かべた方は旅行、欧州好きな方です。ブルガリアは人口700万人で バルカン半島に位置し、黒海に面しています。OECD(経済協力開発機構)の統計によれば、主要国1人当たりのヨーグルトの年間消費量は日本の6倍でブルガリアが世界トップで間違いないのですが、IT関連ではどうでしょうか。
近年、IT教育の進んでいる国として世界から注目されていたブルガリアです。日本の大手ゲーム会社のセガゲームズがブルガリアへ2017年に進出しています。東欧はIT人材の宝庫とも言われており、オフショア開発は東南アジアでベトナムが主流ですが、
東欧の利用もひそかに広がってきています。
さて、実際に2文字.gyドメインの使われ方はどのようになっているでしょうか。最大保有国であるUS(米国)の.gyのホームページ利用を調べてみます。米国は106個で全体の約3割を占めます。106個(www有無し、http,https)の.gyのURLを総当たりしてみました。
tg.gy、jp.gyは短縮URLのリダイレクションサービスをリリースしています。そのほかで特筆すべきドメイン名で運用しているところは果たしてあるのでしょうか。正直、普通なサイトばかりだと思っていましたが有名な企業のドメインがありました。
http://go.gy リダイレクトされて、はるかに貴重な.comでの2文字ドメインのhttp://go.comに転送される。
ディズニーのDisney's Official Online Store公式サイトではありませんか。「Disney.com」「The Disney Store Online」「ABC.com」などDisney傘下のインターネット資産はgo.comに統合されています。この場合、ブランド侵害などに対する防衛のためにgo.gyを取得しているものと思われます。ひとつあればさらにありました。
http://hp.gy リダイレクトされて、これまた貴重な.comでの2文字ドメインのhttps://hp.comに転送される。
hpといえばPCとプリンティングのリーディングカンパニーのヒューレット・パッカードです。2021/11/23時点では、hpのBlack Fridayのshop案内がされていました。これも防衛のために取得しているものと思いますが、しっかり運用されています。
このように2文字.comを所有している企業は2文字.2文字ドメインで取得可能なドメインは取得しているものと思います。
先ほども言いましたが、2文字.comは大変貴重でもはや一般では手に入りません。日本企業で2文字.comを所有しているのはKDDI保有のau.comで、2013年ごろ保有したものと言われています。
https://www.zaikei.co.jp/article/20170321/358788.html
日本たばこ産業はjt.comを保有しています。2000年より以前に個人所有者からWIPO(世界知的所有権機関)の仲裁で取得しています。
https://xtech.nikkei.com/it/free/NC/NEWS/20000923/1/
「WIPOによるドメイン名紛争統一処理方針(処理方針)についてのガイド」に.com, .net, .org, .biz, .info, .name の一般トップレベル・ドメインと、処理方針を自発的に採用した国別トップレベル・ドメインがリストアップされています。この中に現在、.gyは含まれていませんので対象外です。
さらに上をいく最強の1文字.comですが、GMOインターネット株式会社が2014/11/11に「z.com」を8億円で取得しています。1文字のドメイン名は全世界で6個しか存在しておりません。かつアルファベット最後の文字Zです。価値は計りしれません。
https://www.gmo.jp/news/article/4649/
ここまでにはないにしろ、2文字.2文字ドメインはまだまだお手頃な価格で購入できるので、ぜひ一つ所有しておいてはと思います。
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※ユーザーノートの記事は、弊社サービスをご利用のお客様に執筆いただいております。
医療メーカーで新素材研究開発後、電機メーカーで制御器系システム開発を経てIT系マルチエンジニアをしています。またデザイン思考を実践し、アート思考などのいろんな思考方法に興味があります。